愛媛県教育委員会が開設した「メタサポキャンパス」における、第2回ワークショップを11/24に実施しました。今回のテーマは、「AIが顔認識する絵を描こう!」です。Scratch LabのFace Sensingブロックを使って、プログラミングと顔と認識する絵を描いてみました。活動自体はシンプルでも、無限の可能性を参加者と一緒に体験できた貴重な1時間になりました。
まずはwhen a face is detected (顔を検知したとき)ブロックを使って、プログラムを試してみます。自分の顔だけでなく、身の回りにあるキャラクターなど、色々と試してみると、人間以外のものでも顔と認識するものがあります。描いた絵も認識するものとしないのがあります。Scratch開発チームのEric Rosenbaumさんに事前に教えてもらったヒントを参考にしながら、目や鼻、口、耳の形を変えながら絵を試してみます。
今回も参加者は、愛媛県内の各拠点に集まってワークショップに参加しました。少し分かりにくいですが、各拠点ごとにアバターがいて、メタバース空間に入っています。そのアバター越しに、参加者は1人1台端末を使って、プログラミングに挑戦しています。私もアバターとして、メタサポキャンパスのなかで、講師とファシリテータとして活動しています。
顔認識を使うために、Scratch上にウェブカメラ映像を取り込むので、メタバース上のスクリーンに共有した画面に私の姿が写ります。アバターだけでは表現しにくい身振りや表情もリアルタイムに写せるので、説明はしやすくなった気がします。しかし参加者の様子を知るのには、各拠点のアバター越しに聞こえる声だけが頼りになります。耳を澄まして、参加者の声を聞いていると、どんな状況なのか想像が膨らみ、不思議といつも以上に参加者の活動に敏感になっていることに気が付きました。
ふとCAMPの時に実施したDialogue in the darkを思い出します。暗闇のなかで、視覚以外の感覚をフルに使いながら活動すると、いつも視覚に頼っていた情報収集を、視覚以外の聴覚や触覚、嗅覚といった別の感覚をフル活用して情報を得ようとします。普段とは違う研ぎ澄まされたような感覚になります。
ワークショップの終盤には、各拠点でメタバースに接続している端末のビデオをオンにして、参加者の端末をカメラで写してもらいながら、作品共有をしました。それまで音だけでどんな作品を作っているのか、想像だけが膨らんでいたので、実際にカメラ越しに作品を見ることができた際の感動も大きなものになりました。
見えないからこそ、「あーこれはいけた」、「あらなんでこれは認識しないんだろう」という声やScratchから出る音を媒介とした共有、顔と認識するものを探したり、顔認識する顔を描くという活動そのもの共有、時間の共有など、ワークショップでの共有の重要性を再認識することができました。また慣れない空間だからこそ、普段からメタバース空間での支援をされている愛媛県教育委員会の先生方「メタッチさん」「サポッチさん」のワークショップへのサポートがとても心強く感じられました。Dialouge in the darkで、暗闇のなかでの活動をサポートしてくださる視覚に障害を持った方々に感じた安心感とどこか似ている気がしました。
私たちは誰もが、今回のような特殊な環境のワークショップだけでなく、普段から実生活のなかで何かしらの不自由を抱えているのかもしれません。不自由を補うために、不自由をなくすことを目指して、私たちは知らない間に色々な手を尽くしてしまいます。しかし考えようによっては、不自由は大事なものを見つけるチャンスでもあるのかもしれません。
対面でのワークショップからリモートでのワークショップになって、できない事を引き算するのではなく、大事なものだけ残すシンプルなワークショップを目指してみたいと、今回のワークショップは考える機会になりました。
今回もワークショップを通じた学びに感謝しながら、次回のワークショップを考えていきたいと思います。