9/14に3年半ぶりに、はまぎんこども宇宙科学館で対面でのワークショップを開催しました。前回はコロカ禍でフェースシールドをつけての実施だったことを思い出します。今回はScratchを開発したMITメディアラボのLifelonng Kindergartenグループが2023年10月にリリースしたスマートフォン用のプログラミングツール”Octostudio”を使ってワークショップを実施しました。
はじめてのワークショップといういこともあり、90分間のワークショップデザインをどうするか、色々と考えたのですが、Octostudioとスマートフォン、工作材料、枯れ葉など自然のもの、廃材を使って作品づくりを行いました。ゆるやかなテーマとして、紙袋も使って、プログラムで動く不思議な紙袋づくりとしてみました。
Octostudioの素晴らしさは、スマートフォンでスマートフォンをプログラミングできることです。
スマートフォンでプログラミングできることで、いつでもどこでもプログラミングできるようになります。つまりOctostudioは、いつでもどこでも、日常生活のなかでも、クリエイティブラーニングを楽しむための、強力なツールです。Octostudioと身近なものを使った作品づくりを組み合わせることで、日常生活のなかで、いつでもどこでもプログラミングとクリエイティブラーニングを楽しむきっかけづくりにワークショップがなればと思い、今回のワークショップを実施しました。
しかし、なかなか日常生活で思い切って、高価なスマートフォンを作品づくりの道具に使う機会は、多くないかと思います。そこで今回は参加者の自分のスマートフォンではなく、ワークショップ用に古いスマートフォンを集めて、材料を貼り付けたり、何かにくっつけたり、思いっきり振ったりなどなど、参加者に遠慮無く作品づくりの道具として使ってもらいました。
実際にワークショップをはじめてみると、まずは、子供たちが操作に慣れるのが早いことに驚かされます。まだ自分のスマートフォンを持っていない小学校低学年の子供たちも、タブレットや家族のスマートフォンの操作に慣れているからなのかもしれません。
スマートフォンのカメラで自分自身や、工作したものを撮影して、スプライトとして使ったり、自分の声を録音して活用することで、Octstudioでの作品づくりを身近な活動にし、さらに個人にとって意味のあるもの(Personally Meaningful Artifact)づくりにしていきます。つくられた作品も、今回はストーリー性を持ったものが多く生み出されました。 もしかするとこれは、機能面以外にも、スマートフォンがパーソナル(超パーソナル)なデバイスであるということが影響しているのかもしれません。
超パーソナルなデバイスであるスマートフォンでの個々の活動を、ワークショップでファシリテータがどう支援していくかは、今後の課題です。作業画面が小さく、老眼が進んでいる自分には、一緒に横で眺めながらサポートすることは難しく、一度スマートフォンを自分の手にとらないとならないため、子供達の作業を中断してしまいます。また参加者がスマートフォンも持って作業している姿(ChatGPTで作成したこちらの写真のように)は、普段のワークショップとは異なり、不安を感じてしまいます。
一方で、子供達がスマートフォンを取り囲んで作品共有をしている様子は、小さくてパーソナルなデバイスからこそだからかもしれません。
Octstudioで使っている日本語ブロックの修正も、ワークショップで使っている様子から修正のヒントをいただきました。
今回もOctstudioを使ったワークショップを通じて、クリエイティブな学びの場としてのワークショップや、クリエイティブな活動と学びのツールとしてのOctstudioについて考える機会になりました。さらには家族でのクリエイティブな活動について考える機会にもなりました(実は、今回は家族でワークショップを運営していたので、家族で家族でのワークショップとクリエイティブな学びを考える機会にもなりました)。
You can’t think about thinking without thinking about thinking about something.
(何かについて考えることついて考えることなしに、考えることについて考えることはできない)
パパートの言葉を思い出しながら、私にとって、ワークショップを実施することがワークショップと学びについて考える貴重な機会になっているように、参加いただいた皆さんにとってワークショップでの活動が、それぞれの何かを考える機会になるように、これからもワークショップについて考えていきたいと思います。
今回もワークショップを開催する貴重な機会をいただいた科学館の皆様と、参加いただいた皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました!