Chobitto(ちょびっと)は、テクノロジを使ってほんの少しのものづくり、創作、表現活動から、大きなアイデアを得ることを楽しむ学びの研究プロジェクトです。
Chobitto(ちょびっと)には、超ビットつまり、テクノロジーによって少しが少しを超えていくという願いも込められています。
私たちは、大きな目標を持って、そこに向けて活動することばかりを大事にしてしまいます。もちろん、しっかり目標を立てて、きちんと計画をつくり、そして実行して、その活動を振り返り、活動を改善をすることを繰り返して、目標を実現するプロセスは、とても効率的、効果的な方法です。しかし、目標や方法ばかりにとらわれて、なかなか最初の一歩が踏み出せない、あるいは大きな目標そのものが見つけられないために、動き出せない人も多いのではないでしょうか。これは大人である私たちだけでなく、子どもたちにも当てはまります。
現代の教育システムも、効率的、効果的に多くの子どもたを学習目標に導くことを重視して設計されています。
学習目標に向かって、教師がデザインした授業のなかで学ぶことに、子どもたちは慣れています。言い方を変えれば、大人が考えた目標に向かうことは得意でも、自分で目標を考えられない子どもや、目標が大人から与えられるばかりで、しかもその目標が大きな目標ばかりなので、目標恐怖症になっている子どもも多いのが現状ではないでしょうか。
もちろん大きな目標を持つことは大事です。しかし目標ばかりが気になって、動けなくならずに、とにかくちょびっとやってみようというのが、CHOBITTOプロジェクトのコンセプトです。
ちょびっと何かをつくること、表現すること、試すこと、遊ぶこと、コミュニケーションすることは、私たちみんなが幼いころにやってきたことです。そして、私たちはちょびっとの活動を通じて学び、成長してきました。例えば、赤ちゃんは歩くという明確な目標を意識せずに、ちょびっとずつ自分ができることを続けることで歩けるようになります。
例えば、赤ちゃんは大人をみて、大人のように歩けるようになりたいと目標を立てて、はいはいからつかまり立ちへと移行し、最終的に歩行できるようになっているのでしょうか。もちろん歩いている大人の様子を真似ようとすることは、赤ちゃんにとっては目標を持つことなのかもしれません。しかし赤ちゃんは歩くという明確な目標を意識せずに、ちょびっとずつ自分ができることを続けることで歩けるようになります。
CHOBITTOプロジェクトの目的は、ものづくりや表現活動を通じて、再び子どもたちにちょびっとの機会を提供していくことです、テクノロジーは、ちょびっとの活動で、大きな楽しみを生み出す道具です。身の回りのものを使った工作に、小さなコンピュータを埋め込むことで、作品は飛躍的に楽しいものになります。それだけでなく、普段子どもたちがやっている活動、例えば歯磨きで使う歯ブラシに小さなコンピュータを取り付けて、ブラッシングの回数を数えてみるようなちょびっとした発明品をつくることは、普段の生活を見直し、楽しくする機会になります。
CHOBITTOプロジェクトでは、1人1台の情報端末が整備され、プログラミング教育が必修化された小学校をはじめとする日本の学校や、放課後児童クラブ、ミュージアムなどに向けて、ちょびっと活動を実現するツールとワークショップを紹介し、提供していきます。また、料理のレシピサイトをモチーフにしたウェブサイトchobitto.jpでは、作品やワークショップの作り方を子どもたちやエデュケーターが登録して、共有できます。
Chobittoは、みんなのちょびっとを集めて大きなアイデアをつくっていくプロジェクトです。皆さんもちょびっと参加してみませんか?
Chobittoプロジェクト 森 秀樹
*本研究プロジェクトの一部はJSPS科研費 17K01110および20K03121の助成を受けたものです。